アイコン 2011 2.7 「だしの取りかた」レシピの秘密  その1

デビューアルバム「だしの取りかた」をより堪能するためには、やはりメンバー全員の言葉を読むのが最適です。メンバー5人で語るDezille Brothersの楽しさ。それこそ、彼らの音楽の魅力を解く手掛かりとなりそうです。(インタビュー:小野田雄)

その1 おだし選び

まずはその1「おだし選び」。Dezille Brothersを形成する、5種類のおだしたるメンバーは、どのように椎名純平のもとに集い、どのように味の調和が図られたのでしょうか。

――まず、純平くん以外の4人がDezille Brothersに加入したいきさつを教えて頂けますか。

鈴木渉「あのー、俺、椎名純平の大ファンなんですよ。単純に学生時代という多感な時期に彼のアルバムを聴いてきたんですね(笑)。だから、そういう超えられない憧れというフィルターが常にあったことは加入にあたって大きかったです。あと、他の現場でも顔を合わせることが多いメンバーと一緒にバンドをやれているということが不思議な感じなんですよね。仕事と割り切るには感情的になってしまう場だし、バンドと言い切ってしまうには椎名純平という看板が僕の中で大きかったり」
白根「それは僕も同じですよ。18歳の時に友達でソウル好きのシンガーがいたんですけど、そいつが「白昼夢」のCDを持って来て、「この曲を歌いたい」って。そこで初めて椎名純平を知ったんですけど、俺も気に入ってしまったっていう(笑)。で、それから何年後かにその本人と知り合うんですけど、Dezille Brothersのメンバーは他の現場でもよく一緒になる面子だったうえに、ちょうどクレさん(KREVA)のMTV UNPLUGGEDライヴ(椎名を除くDezille Brothersのメンバー全員がバック・バンドに参加)のリハーサルをやってる時に、このバンドに誘われたんですよ」

――そういう意味で、このメンバーは年齢こそ違えど、色んな現場で顔を合わせて、共有するものがあったわけですね。

竹内「さかいゆうのつながりがデカいよね。だって、ゆうが純平くんを誘って、(竹内が在籍していた)SUPER BUTTER DOGのイベントに来てくれたのが最初の出会いですからね。俺が純平くんと一緒に音楽をやれてうれしいのは、本格派ミッド・ヴォイスの人と組めるところ。もちろん、音楽の趣味も合うし、同世代ということもあるんですけど」
SWING-O「そして、僕は去年バンドに加入したんですけど、それ以前に外から冷静にバンドを見ていた時、メンバー間でかみ合う瞬間と雑な部分を感じていて、雑な部分がきゅっと締まれば、バンド・マジックが起こるのになと思っていたんです。そんななか、キーボードとしてバンドに誘われて、あれこれ口出ししているうちにサウンド・プロデューサーの立ち位置になった次第です(笑)」
竹内「SWING-Oが加入してくれたおかげで、実際、作業が楽になったというか(笑)、進行がスムーズになりましたからね」

――そして、ここに集った5人は、ヒップホップ/R&Bのプロダクションとバンドの生のグルーヴを行き来出来るセンスとスキルを兼ね備えた面々でもありますよね。

鈴木渉「メンバーは年齢が違うし、先輩には先輩なりの経験則や判断力があったりするんですけど、自分のなかでこの5人はひとまとまりというか、話さなくても音を通じて理解出来る瞬間が多いんですよね」
椎名「プレイヤーには、ヒップホップ/R&B以降の感性を分かる人と分からない人がはっきりあって、そこは過去に僕が戦ってきたところなんですよね。でも、Dezille Brothersではヒップホップ/R&Bのプロダクションとバンドの生のグルーヴを行き来出来る人とようやく一緒にバンドをやれるっていう思いが大きいというか、今回のレコーディングもズレを感じることなく、すごく快適でした」
SWING-O「むしろ、馬鹿話ばっかりでなかなか本題に入らないっていう(笑)。そういうある種の気持ちの余裕が感じられる、感じすぎたレコーディングだったんですよ」

(その2につづく)

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