|
いやいや大変長らくご無沙汰してしまいましてすいません。最近気が付いたのですが、実はおいら筆無精なのだと。えらい長いスパンが開いてしまいました。ごめんなさい。今後も余り期待せずにどうかお待ち下さい。がんばります。
久しぶりに自転車に乗った。ちょっとそこまでのつもりが、あまりに楽しかったために随分長い距離を走ってしまった。普段は「あーかったりー」とか言いながらバスから眺める道のりが、自分で自転車を漕ぐととても新鮮で初々しく見えて、まだ冷たい春の風も心地よいものと感じられた。
そこで思わずいきなり自転車についての思い出話をしても良いですか?駄目って言われてもしちゃうんだけれど。 いつもの事ですが、唐突ですみません。「イキナリの疑問からムリヤリの弁論」というのが、なんだか僕のキャラではないかと思いはじめた次第であります。
小学校の頃M君という友達がいた。彼は自ら無茶な計画を立て、それを確実に実行に移す男で、周囲の友人たちをしばし困惑させる事が得意な男であった。これは余談だが、(というより最初から余談ですが)僕の記憶によれば彼が唯一実行できなかった計画は「酸素ボンベ背負って泳いでソ連に殴り込みに行く。」という意味不明な計画だった。そう、ご存じかもしれないけれど何回か前のコラムに登場した彼である。
ある日のこと、そんなM君を含めた何人かの友達と共に自転車に乗って、実家から近くの丘の上にある団地の周りで遊んでいた。そして団地から下界に降りる長い急な坂道の上にさしかかったとき、M君が例によって無謀且つ無意味な提案を出してきた。「よし!『ノーブレーキ何処まで行けるか競争』しようぜ!」と。・・・。言うまでもないが、『ノーブレーキ何処まで行けるか競争』とは、皆が一斉に坂道を自転車で下り最後までブレーキをかけなかった者の勝ちということらしい。なんとアメリカンな発言!平たく言えばチキンレースではないか。一同一瞬の間があったものの「よっしゃ!やろうやろう!」ということになってしまった。(ほんと皆も僕も感心する程馬鹿だったなぁ。)自転車にまたがった数人の馬鹿は坂の頂上に自転車を並べスタートの合図を待った。もちろんスタートの合図はM君が出す。恐らくM君を除いた皆は一様に他人の出方を伺いつつ適当な所でブレーキをかけ、仲良く茶を濁そうなどと考えていたに違いない。それでも危険である事は違いない。
そしてスタートの合図がかかった。
一同唖然。なんとM君は自らの号令と共に猛スピードでペダルを蹴りロケットスタートしたのだ。「彼は何かを間違っている。」と皆が思う間にM君はガンガンペダルを漕ぎ、坂の終わりに待ち構えるブロック塀めがけて加速していった。確認しておこう。このゲームの勝利条件は誰が最後までブレーキをかけなかったかであって、決してブロック塀に向かって玉砕することではない、しかも最初に猛スピードで飛び出してしまえば自分が一番最初にブレーキをかけてしまうに決まっている。彼はスタート直後に自分を見失い敗北への坂道を猛進した。そして、その敗北への道を転げ落ちた彼は「お馬鹿さんね。」ではすまされないスピードでブロック塀に激突した。その凄まじい惨劇を前に恐くなってその場から逃げ出す友達もいた程だった。頭から血を流しむっくりと立ち上がり、「俺の勝ち?」と皆に尋ねるM君、「いやぁ・・、なんとも・・。」と皆絶句。しかしその姿は、正に男の中の男であった。否。「ただの馬鹿」なんてだれも口には出せなかっただけだけれど。
|