| 4回目 | 愛する君へ。 |
| 前略。ごめんなさい。 唐突で申し訳ないのですが、僕は君の事を心から愛していました。その愛の深さや大きさは人それぞれではあるけれど、僕は僕なりに精いっぱい君の事を愛しました。それだけは、どうかお認め下さい。 どうにも身勝手な台詞で、君への愛を伝える手紙の冒頭には大変不適切はあると思いますが、君がそれを認めてくれる事で、僕は少なからず救われ、手紙を書く事が出来るのです。もしもそれをお認め下さらないのであれば、今すぐにこの手紙を君のそのすり減った黒いラバーソールで踏み付けて下さって結構です。 先日、君が体、しかも心臓部とも呼べる部位を悪くし、走れなくなってしまった時、僕は本当に落ち込んでしまいました。 今更遅いのですが、どうしてもっと大事にしてあげなかったのかと、とても後悔しています。出会ってから約1年が経とうとしていますが、最初から病弱だった君は、いつも何処か悪くなさっていましたね。マフラーが落っこちたり、アクセルが踏まれたままもどらなくなったり(しかも環七の渋滞中に)そして、最初からあまり期待はしていなかったけれど、クーラーの風はまさに”微妙”なものだったし。(あれは温風とも呼べる代物でした)逆に、多少期待していた暖房も8割は稼働してくれなかったね。稼働したら稼働したで、「大丈夫か?」って程の熱風を吐き出していましたね。そんな病気(故障)を繰り返す君 に、僕はいつも君のアドリア海の様なブルーの体をぽんっと叩き、「どんまいっ」って言ってあげてたでしょう。イタリアのトマトを日本に植えても同じ味の物が出来ないように、ガイジンの君が日本で暮らすのには相当な努力と労力を費やすのだろうと思って、いつも君と共に笑って、その度重なる困難を乗り越えて来たつもりなのです。 君は今は辛いだろうけれど、そして、どんなにひどい病状だったとしても、僕が必ず直してあげます。もちろん僕には君の治療をする能力が無いので、工場のおじさんにお願いするのですが、僕は君の事が大好きです。心から愛しています。心配無用です。よく解らない話になってしまったけれど、とにかく君の事を直してあげられるのは、お金や工場のおじさんの力だけではないという事です。 また一緒に遠くに遊びに行く事が出来る事を楽しみにしています。 |
|
| ←前へ | 次へ→ |